茨城県 SN様

この度は、新方式のカートリッジの試聴の機会をいただきありがとうございました。

まず、試聴に用いた機器ですが、トーンアームはViv LabのRigid FloatCarbon12inch、ターンテーブルはEMT927stで、付属のイコライザー(ヘッドアンプ)を介してプリアンプはCello SuiteのAUXに入力しています。Cello Suiteの録音出力をGoldmundのデジタルプリアンプMimesis 24MEに繋いで、パワーアンプはGoldmund Telos 600を用いて、スピーカーはGoldmund Full Epilogueという組み合わせです。

MEMSカートリッジの音質ですが、マイクで音を拾っているという点で音色やノイズの点で多少の不安はあったのですが、極めて耳当たりのいい音色で、かつS/Nも良く、聴いたとたんにその心配は消えていきました。使用するマイクはもともとどのような用途に作られているものなのか、他の種類があるのか等、情報が少ないのでわかりませんが、このマイクの選定でこのカートリッジは変わっていくと思います。

問題点としては出力電圧が大きすぎるので、Cello Suiteは許容入力が小さいので、saturationが起きがちだった点が挙げられます。イコライザー(ヘッドアンプ)にアッテネーターを付けた方がいいかと思います。

それから、時に左右の位相のズレを感じるようなことがありました。通常のカートリッジと異なり、マイクに至るまでの音道は空中を音が伝わっていくわけですから、僅かな差であっても、特に高域では波長が短いので、左右の位相のズレにつながる可能性もあろうかと考えました。

また音のシグナルが芯線を通っているケーブルのシールド側を使ってマイクへの電源を送っている点に問題がありそうです。いくら出力の高いカートリッジと言えどもmVの周囲にVの電圧がかかっているわけですから、あたかも新幹線の線路の脇を人が歩いているような状況かと思われます。このあたりの改善で、さらに音質の向上が図れるかなと考えた次第です。

ともあれ、かなり可能性の高い方式の開拓に取り組んでおられる姿勢に感銘を受けました。

益々の発展を期待しております。